「さっきの昼休み、例の動画をアップしたんだよ。そしたら、二時間たらずでもう十万回再生だぜ? こんな勢いははじめてだ!」

「ええっ!?」


 岸くん、すごいっ!


「えっ……うしろに映ってるの、つむぎちゃんじゃないの!?」


 小村さんが、スマホをのぞきこみながらさけんだ。


「ああ、そうだぜ。おれがつむぎに出てくれって、頼んだんだ」


 岸くんが得意げに言うと、女子がみんな大さわぎ!


「きゃあ! つむぎちゃん、すごいっ!」

「うらやましすぎるっ!」


 さわぎを聞きつけた子たちもやってきた。


「なになに、どうしたの?」

「つむぎちゃん、ダンス王子の動画に出たんだって!」

「ええっ!? うらやましい!」


 みんなが、うらやむような眼差しをわたしに向けている。

 こんなこと、魅了の魔眼を手に入れるまでは一度たりともなかった。

 だから正直、気分がいい。


「おれが今まで上げた動画のなかで一番バズってるわ。つむぎのおかげだよ」


 やさしくほほ笑みながら岸くんが言ってくれたけど、わたしのおかげなんて、さすがにそんなワケないと思う。