「よーし、今日はここまで! 気をつけて帰れよー」


 その日の帰りのHRが終わって、矢島先生が教室を出ていくと――。

 わたしは、佐々木さんたちクラスメイトの女子に囲まれた。


「今日、みんなで長閑中央まで出て買い物するんだけど、つむぎちゃんもいっしょにどう?」

「あっ……今日は園芸部のあつまりがあるから。ごめんね」


 クラスメイトといっしょに買い物なんて、ほとんど経験がない。

 ひそかに憧れていたから行きたいけれど、今回は断わるしかなかった。


「え~、そんなのサボりなよ。あたしも部活サボって行くんだから」


 佐々木さんが口をとがらせる。

 う~ん、さすがにそこまでは……。


「ごめんね、綾乃ちゃん。また今度誘ってね」


 あやまって、立ちあがったときだった。


「つむぎ! いるか!?」


 岸くんが勢いよく教室に飛びこんできたんだ。

 岩田くんや岡くんが「何しにきたんだ?」と言わんばかりににらんでいるけど、岸くんはまったく気にせず、わたしのところへ一目散に駆けてきた。


「岸くん、どうしたの!?」


 おどろいたわたしに、岸くんはスマホを差しだして、動画を再生して見せてくれた。