「明日の放課後四時に、長閑中央駅の改札で待ちあわせましょう。それでは、また!」


 シルバーリングが光っている手をはなすと、わたしの返事も待たず、怜音くんは走りさってしまった。

 ど、ど、どうしよう!?

 神谷兄弟の弟――【癒やし王子】の怜音くんとデートの約束をしてしまった!

 わたしは、ぽーっと立ちつくしていたけれど、我に返って走りだした。

 早くみんなの暗示をとかないと、どんどん大変なことになっていくよ!

 わたしの左手には、怜音くんの温もりがまだ残っていた。