えさやりが終わると、マロンが甘えるように、ぴょん! と飛びついてきた。


「マロン~♪」


 うふふ、かわいずぎる。

 神谷くんのほうには、おもちが飛びついて甘えた。

 おもちをなでながら、神谷くんが口をひらく。


「……吉丸センパイの目、ちょっと赤いですよね」


 ぎくりとした。


「う、うん。最近、寝不足で……」

「おもちの目も赤いから、いっしょですね」


 神谷くんが無邪気に言ったから、わたしは吹きだしてしまった。

 うさぎもかわいいけれど、神谷くんもかわいらしい。

 まあ、たしかに白うさぎのおもちは目が赤いけど……。

 おもちを見やると、なでている神谷くんの右手の薬指にシルバーリングがついていることに気づいた。

 なんだか心がフワフワと、落ち着かない。

 この感じ、たしか前にも……。


「あっ、これですか?」


 わたしがじっと見つめていると、神谷くんはシルバーリングが見えやすいようにしてくれた。


「これ、兄さんがくれたんです」

「お兄さんって、紫音(しおん)センパイだよね?」

「はい。兄さんは有名人ですもんね」


 そりゃもう、わたしが知ってるくらいだもの。

 三年生の神谷紫音センパイもイケメン王子とよばれるひとりで、超がつくほど美しい顔をしている。