「意外だよぉ。だって神谷くんはイケメ――」


 言いかけて、わたしは口をつぐんだ。

 すると、神谷くんはほほ笑んで、

「ぼくが学園のイケメン王子ってよばれてるのは知ってます。女子がよく話しかけてくれるのはうれしい反面、ちょっと疲れるというか……。がんばって明るく対応してるけど、性格の根っこの部分は、あまり社交的じゃないんです」


 わかるっ!

 魅了の魔眼の力で、ひとりぼっちから急に人気者になった今のわたしには、神谷くんのキモチは痛いほどわかるっ!


「このコトを打ちあけたのは吉丸センパイだけです。ナイショにしててくださいね」


 ウインクして、人さし指をくちびるに当てる神谷くん。


「うん。もちろん!」


 ドキドキしていた。

 年下の男の子だけど、乙女心をくすぐるものを持っている。

 さすがイケメン王子だ。

 でも、ホントに意外だなぁ。

 女の子にモテモテの神谷くんが、わたしと同じ、人見知りだなんてね。

 さっきは偉そうに言っちゃったけれど、わたしも人に頼みごとをするのは苦手だ。

 神谷くんと同じ状況だったら、遠慮しちゃって、ひとりでえさやり当番してたかも。