うさぎ小屋にマロンとおもちを無事に帰してあげた。

 ほかにも四匹いるので、計六匹だ。


「えさやり当番はふたりでやるけど、ペアの子はどうしたの?」


 わたしがたずねると、神谷くんは悔やむような表情になった。


「ペアの女子が、風邪で休んでるんです。代わりに、だれかいっしょに来てもらえばよかったんですけど……」

「六匹もいるし、ちゃんと決まりどおり、ふたりでやったほうがいいよ。ひとりだと、注意が行き届かない場合があるし……」


 わたしは上級生らしく注意した。


「そうですよね。実際ミスしちゃったし……。ごめんなさい」


 神谷くんが頭を下げたのを見て、私はハッとした。


「あっ、こっちこそごめんね。なんか偉そうに言ったりして……」

「とんでもない! 大事なことを言ってもらえました」


 神谷くんはあわてて言うと、バツが悪そうに苦笑いした。


「ホント、だれかに頼めばよかったのに、ぼく、すぐ遠慮しちゃうんですよね……。マロンと同じで人見知りかも」

「えっ、意外だね」

「意外ですか……?」


 きょとんとする神谷くん。