「じゃあ、吉丸センパイ、行きましょうか」

「う、うん……」


 ぽーっとしている女の子たちを置いて、神谷くんとわたしは、また歩きだした。

 たしなめられても、女の子たちに気を悪くしたようなそぶりはなくて。

 神谷くんは不思議な男の子だ。

 話していると、心がなごむというか……。

 わたしは思いだしていた。

 神谷くんの異名が【()やし王子】だということを――。