入試の成績がトップだったそうで、新入生を代表して、壇上であいさつしたのを覚えていたからなんだ。

 その美少年っぷりに、生徒がどよめいたことも忘れられない。

 そして、神谷くんは学園のイケメン王子の仲間入りすることになった。


「マロン! ぼくが悪かったんだ。ごめんな……」


 神谷くんは、その整った顔をぐっと近づけてきた。

 もちろん、わたしの腕のなかにいるマロンへと……。

 わたしの視線は、神谷くんのきめ細やかな肌や、長いまつげに注がれる。

 一年生ながらイケメン王子として人気なのも納得だ。


「センパイがつかまえてくれて、ホント助かりました。ありがとうございます!」


 お礼を言いながら、神谷くんは顔をあげた。


「――っ!」


 完全に油断していた。

 至近距離で、神谷くんと目をあわせちゃったよ!

 一点の曇りもない美しい瞳だった。


「……どうしました?」


 わたしがうろたえたのを見て、神谷くんが小首をかしげた。


「ううん、なんでもないよ」


 取りつくろって笑みを浮かべると、神谷くんはマロンを見つめて、

「この子、気むずかしいのに、センパイによくなついてますね」

 と、やわらかくほほ笑む。