クラスメイトたちもついてこようとしたけれど、強く言って、なんとかふりきってきた。

 じょうろで、お花に水やりをしていく。

 そういえば……。

 岸くんとはじめてしゃべった場所なんだよね。

 花壇をバックにダンス動画を撮りたいと言って、わたしも出ることになって……。

 また、岸くんが来たりしないかな?

 なんてね。

「本気で恋するなよ」って賢ちゃんに言われたばかりなのに……。


 ――サッ。


「ん……?」


 ふいに、視界をかすめるものがあった。

 咲きほこっているコスモスの陰で、何かが動いたような……?

 目をこらしてみると。


 ――ピョン!


「わあっ!」


 わたしはびっくりして、さけんでしまった。

 小さくて、茶色い生き物が飛びだしてきたんだ!


「えっ……マロン!?」


 それは、学園で飼われているうさぎだった。

 茶色い毛並みのマロンは、わたしに気づいたらしい。

 長い耳をなびかせながら、跳ねるように、こっちに向かってきた。

 飛びこんできたマロンを抱きかかえるわたし。


「マロン、なんでここにいるの!?」


 うさぎは、校庭わきにある小屋で飼われているのに……。