このところ、ほぼ毎日、学校帰りに賢ちゃんの家に寄っているけれど。


「ダメだぁ。魔石を取りだす方法が、ちっとも見つからない……」


 散らかり放題の部屋のなか、賢ちゃんが机に突っぷしている。

 床は書物だらけで、足の踏み場もない。

 わたしは、なんとか自分が座るスペースを確保して。


「あの……賢ちゃん、大丈夫? ちゃんと食べてる?」


 賢ちゃんは元々やせっぽちだけど、日に日にげっそりしてきて、顔色もよくない。


「ああ……大丈夫だ……」


 ふり返った賢ちゃんは例によってサングラスをかけている。

 頬がこけてるから、ちっとも大丈夫に見えない。


「ネットで調べたり、遠くの図書館や古本屋まで行ったり、八方手をつくして資料を探してるけど…………ダメだっ!」


 くやしそうにさけんで、髪をかきむしる賢ちゃん。


「お願いしたわたしが言うのも何だけど、そんなに無理しなくていいからね?」

「……魔眼の力でチヤホヤされる生活が気に入ってきたんだろ?」


 ぎくり。


「ち、ちがうよっ!」

「まっ、イケメンたちに迫られたら、そうなるか。つむぎを責めるつもりはないよ」

「ちがうって言ってるでしょーっ!」

「ああ、はいはい」


 むかつくっ!