ふたりの道は別れてしまったけれど、それでもやっぱり、ふたりは幼なじみで。

 わたしにはわからない、深いところで今もつながっていると思うんだよね。


「ありがとうな、つむぎ」


 ふいに、岸くんが腕をのばして、わたしの頭に手を置いた。

 かーっと、全身が熱くなってくる。


「ううん、わたしは何も……」

「なんか感謝したい気分」


 ほほ笑んだあと、いたずらっぽい表情に変わった岸くんは、わたしの髪をくしゃっとした。


「ああっ! 岸くんヒドイ!」


 あわてて手ぐしで髪を直すわたし。

 岸くんは楽しそうに笑った。

 ぶつぶつ文句を言いながらも、わたしはうれしかった。

 クールな岸くんが笑ってるところ、もっと見たい。


「おれたちも、そろそろ行くか」

「うん。……あっ、佐々木さんに図書委員の仕事、代わってもらってたんだ!」


 すっかり忘れてたっ!

 わたしは岸くんと別れて、図書室にダッシュで戻った。