わたしたちは見つめあった。

 望月くんは本気だ。

 魅了の魔眼で暗示にかかっているだけ。

 それはわかってる。

 でも、望月くんの眼差しは、こわくなるほど真剣で……。

 わたしも真剣に向きあわなきゃいけないんじゃないかって……。

 そんな気にさせられる。

 だけど、わたしは臆病で、ずるい人間だ。


「えっと……望月くんは、岸くんと仲がいいの?」


 話をそらしてしまった。

 それでも望月くんはほほ笑んで、

「ああ、おれたち幼なじみってやつ。幼稚園からいっしょでさ、小学校も六年間同じクラスで、地元のサッカークラブでもいっしょだったよ」

「えっ、そうだったんだ?」


 とっても意外。


「聖ネクサス学園のサッカー部は強豪だから、いっしょにがんばろうぜって言ってて、ふたりそろって合格したっていうのに……。入学したらアイツ結局、ダンス部に入りやがった。サッカーに興味なくなったとか言ってさ。それで今はちょっと疎遠なんだよね」


 望月くんは、苦い薬を飲んだときのような顔で教えてくれた。

 ふたりの間に、そんなことがあったんだ。

 望月くん、裏切られたようなキモチなんだろうな。

 岸くんのことを「いい加減」って言ってたのは、そういう過去があったからなんだね。