「座って話そうよ」


 望月くんが、積みあげられていた丸イスをふたつ並べてくれたから、向かいあって座った。


「ふぅ、ようやくふたりきりで話せるね」


 ふたりきり――というワードに反応して、頬が熱をおびる。

 このせまい、いわば密室で、さわやか王子とふたりきりっ!


「おれさ、ここ一週間くらい、何度も吉丸さんに話しかけようとしたんだけど……。吉丸さん、いつもだれかといっしょだから……。おれの知ってる吉丸さんは――」


 言いかけて、気まずそうに口をつぐむ望月くん。

 わたしは薄く笑って言った。


「いいの。わたし人づきあい苦手で、友だちいなかったもん」

「でも、吉丸さんは変わったじゃないか。友だちもたくさんできたみたいだし、その……きみに恋するようになった男子もふえたみたいだ……」

「それは……」


 ――わたしの魔眼のせいなの!


 のどまで出かかって、飲みこんだ。


「正直、おれ、あせってたんだけど、湊斗のやつまで吉丸さんを狙ってるなら、もう我慢できないよ。積極的に行くことにしたから!」

「望月くん……」