「あーっ、湊斗いたっ! こんなトコでサボってたの!?」


 駈けよってきたのは、工藤さん。


「やっべ。こっちも部活をぬけてきたんだった」


 岸くんの気がそれたときだった。


「吉丸さん! 行こう!」


 望月くんがわたしの手を取り、工藤さんがやってきたのと反対方向へ引っぱった。


「わわっ。望月くん!?」

「あっ、おまえら待てよ!」


 岸くんがさけんだけど、望月くんが走りだしたから、わたしも手を引かれて走っていた。

 望月くんの手は骨ばっていて、大きくて、あったかい。

 なんだか安心する。

 ふりほどく気にはなれない。

 わたしの右手を引いている望月くんの左手首には、あのミサンガがついていた。