「もうっ! 望月くんてば!」


 もしかして、魅了の魔眼が発動した……? とも思ったけれど、そこまで至近距離で見つめあってないし。

 それに……。

 彼はだれであっても分け(へだ)てなく、気さくに話しかけるタイプだ。

 これくらいの冗談をさらりと、嫌味なく言えてしまう。

 なんたって、望月くんの異名は【さわやか王子】だもの。

 まばゆい光を放っている男の子だ。


「でもさ、うれしいのはホントだよ。吉丸さん、なんか明るくなったもん」

「そ、そうかな?」

「そうだよ。一年のときは話しかけても、あまり元気なかったような……」

「あはは……」


 元気なかったというより、あれが通常営業でした。ごめんなさい!

 一年生のとき、クラスで唯一、やさしく話しかけてくれた男子が望月くんだ。

 でも、わたしは、ぼそぼそとそっけない返事を返すだけだったから、会話らしいものになった記憶がない。


「声も大きくなったし、今の吉丸さん、イイと思うな」

「あ、ありがと」


 魅了の魔眼のおかげで、今日は人とたくさんしゃべったから、テンション高くなってるのかも。