「よう、なんか買い物?」


 さわやかに話しかけられ、ドキマギしながら返事する。


「う、うん……。ちょっと商店街に用事があって……」

「そう。おれはサッカー部の練習が珍しく休みでさ、仲間とボウリング行ってたんだ」


 望月くんはボウリングの球を投げる仕草をして、ニッと口角をあげた。

 短く切りそろえた髪に、きりっとした眉、大きな瞳。

 がっしりとした体型で、よく日焼けしているスポーツマンだ。

 彼もまた、学園の四人のイケメン王子のひとりなんだ。

 二年生に上がってサッカー部のレギュラーになり、恋する女子が急増。

 これまたクラスの女子がウワサしてるのを聞いたんだけど。

 ただ、岸くんとはまたタイプのちがうイケメンで、彼は親しみやすいというか……。


「吉丸さん、今A組だっけ?」

「うん。望月くんはD組だよね?」

「正解! なんかうれしいな」

「え……?」

「おれのこと、ちょっとは興味もってくれてるんだ? ……なーんてね」


 望月くんがいたずらっぽい笑みを向けたから、わたしの心臓は早鐘を打った。