「……賢ちゃんにお借りしていた魔除けの水晶玉です。ごめんなさい。ワケあって、このような変わり果てた姿に……」


 正座して頭を下げると、沈黙が流れた。

 ちらりと賢ちゃんを見やるわたし。


「な、なんで粉々になってるんだ――っ!? 何やってるんだよ!」


 取り乱してさけぶ賢ちゃん。

 あちゃー。やっぱり怒られた。


「実はね……」


 わたしは、今までの一部始終を賢ちゃんに説明した。

 話し終えると、だまって聞いていた賢ちゃんは、やれやれといったように肩をすくめて、

「わかりやすく力に溺れたな、つむぎ。ノリノリで魅了の魔眼を使いまくるとは……。そんなんだから魔除けの水晶玉が粉々になったんだよ。罰が当たったんだ」

「返す言葉もございません……」


 もう一度、深々と頭を下げる。


「しかし困ったな。魔除けグッズがないと、魅了の魔眼の効果を打ち消すことはできないし……」

「うぅ……ほかに魔除けグッズないの?」

「ないよ。あの水晶玉だけだった」

「魔法グッズのお店で買ったって言ってたよね? そのお店の場所を教えて! 新しいのを買ってくる!」