「はあ? 何言ってんだ、早野テメー!」

「つむぎちゃんから離れてよ!」

「早野っち、急にどうしたの!?」


 みんなから怒りと、とまどいの声があがる。


「はなしてよ!」


 手をふりほどこうとしたけど、早野くんはにやりとして。


「デートOKしてくれたら、はなしてあげるよーん」


 冗談じゃないよ!

 こんなやつに好意を持たれたって、うれしくないっ!

「みんなにチヤホヤされたい」なんて、魔石に願うんじゃなかった!


 ――そのときだった。


「聞こえなかったか? 『はなせ』って言われたろ?」


 岸くんが早野くんの手首をつかんで、わたしから引き離した。


「つぅ……」


 早野くんは顔をゆがめて、岸くんをにらみつけた。


「はなせよ!」


 岸くんの手をふりほどくと、手首をさする早野くん。


「何だよ、湊斗! 今日のおまえ、ヘンだぞ? おれたちダチじゃねーんかよ」


 岸くんはクールな表情のまま言ったんだ。



「ダチだろうが何だろうが、吉丸の……つむぎの顔を曇らせるやつは許さねーよ」



 きゃああああああああ!

 たとえ暗示にかかっているとしても、超モテ男子の岸くんにこんな台詞を言われたらドキドキしちゃうよ!

 しかも、みんなの目の前で!

 全身が、かーっと熱くなってきた。