そばに置いてあったスコップで土をやさしくならして、足あとを消していたときだった。


「あっ……」


 青いガラスの破片のようなものが落ちていることに気づいた。

 まさか!

 あわててブレザーのポケットに手をつっこんだけれど…………ないっ!

 ハンカチでくるんであった魔除けの水晶玉がないっ!

 そういえば――。

 ひとりでいるとき、岸くんがやってきたから、あわてて水晶玉をかくしたんだ。

 あのとき、ハンカチに水晶玉をくるんだつもりだったけど、落としてしまって、ここまで転がってきたんだと思う。

 そして、もみあった岩田くんと早野くんに踏まれて粉々に……。

 さーっと血の気が引いた。

 ど、ど、どうしよう!?

 みんなの暗示をとけなくなっちゃった!


「どうしたの?」


 横から声がして、そちらを向くと。

 わわっ! 岸くん!?

 わたしの顔をのぞきこんだ岸くんと目が合った。

 鼻と鼻がくっつきそうな至近距離――。

 しまった! と思ったときには、もう遅かった。

 岸くんの切れ長の瞳に、心配げな色が浮かんでいる。

 サッと目をそらし、破片を拾いあつめながら、

「あ、ちょっと大事にしてたキーホルダーが割れちゃって……」

 と、ごまかした。