わたしたちのやり取りを、ぽかんとして見つめている小村さん。

 さあ、あなたもわたしに魅了されるのよ――。

 続けて、小村さんも暗示にかける。


「わたしも吉丸さんと仲よくなりたかったの! ホントよ!」

「うふふ、つむぎって呼んで。わたしも小村さんじゃなくて、(かえで)ちゃんって呼ぶから」


 互いに下の名前で呼びあい、親しく会話をはじめたわたしたち。

 これよ、これ!

 ひとりぼっちでも平気なフリしていたけれど、一度こういうふうに、友だちとかたまって思いきり話しこんでみたかったんだ!

 すると、遠巻きに見ているみんなから、とまどいの声がもれてくる。

 ざわつく教室のなか、岩田くんと岡くんのひときわ大きい声が響いた。


「なんだよ、あいつら急に仲よくなってんぞ」

「おまえら、吉丸のこと嫌ってなかったか?」


 せせら笑うふたりに、胸がちくりと痛む。

 だけど、今のわたしには、すぐに消せる雑音でしかない。

 わたしは、ふたりに近づいていった。


「な、なんだよ」

「わたし、あなたたちともお友だちになりたいの」


 うろたえる岩田くんと岡くんに顔を近づけ、魅了の魔眼を発動!