「おはよう、小村さん、佐々木さん」


 ふたりは「おはよう……」と返してくれたけど、なんだか迷惑そう。


「どうしたの、吉丸さん……?」


 不審がっている小村さんに、わたしはニコッとして答える。


「どうもしないよ? 前からふたりと話してみたいと思っていたの」


 佐々木さんは苦笑いを浮かべて、

「う~ん、言いにくいんだけど……。あたしたちの会話には吉丸さんは入ってこれないと思うわよ。だって、あたしたちと吉丸さんじゃ……ねえ?」


 顔を見合わせて、ふたりはクスクス笑った。

 そんなつれないこと言わないでよ。

 わたしは、ぐっと佐々木さんに顔を近づけて、目を合わせた。


「――っ!」


 明らかに佐々木さんの表情が変わった。


「あ、あたしも前から吉丸さんと話してみたかったの!」

「ええっ!? どうしちゃったのよ、綾乃(あやの)!?」


 親友の変貌にぎょっとしている小村さん。


「ありがとう、佐々木さん」


 ほほ笑みかけたわたしの手を取り、佐々木さんは顔を赤らめながら、ぶんぶんと首を横にふる。


「イヤだわ、佐々木さんなんて他人行儀な! 下の名前で呼んでよ! 綾乃って!」

「わかったよ、綾乃ちゃん。わたしのことも、つむぎで……」

「うん! 仲よくしてね、つむぎちゃん!」