住宅街をふたりで歩いていたら、すぐに気づいてしまった。

 こっちは神社の方向だ。


「もしかして、神社に行こうとしてる?」

「当たり」

「わたし帰るっ!」


 きびすを返そうとしたら、賢ちゃんに止められた。


「わたし、もうあの神社には絶対行かないっ! あの日、あそこに行かなけりゃ、こんな思いはしなくてすんだんだもん!」


 わたしがさけぶと、賢ちゃんが真剣な表情で言った。


「さっき、ぼくが保健室で言いかけたこと――イケメン王子たちに関する重要な情報なんだ。つむぎにとって有益だと思う」

「重要……?」

「ついてきたら教える」


 わたしはしぶしぶ、神社まで行くことにした。

 小さな子どもたちの元気な声が響く児童公園の隣――例の神社へと足をふみ入れる。

 森の木々が、夕焼けの光をはばんでいる。

 真っ暗で不気味なムードのなか、ふたりで進んでいった。


「ぼくたちが小さかったころ、近所の子どもたちはこわがってここに入ってこなかったけど、ぼくとつむぎだけは平気だったよな」

「うん、なつかしいね。賢ちゃんが『妖怪がいるから調査だ』って言って、よく探検したよね」

「ぼくのオカルト好きは、そのころからか……」


 いつしか思い出ばなしに花が咲く。