制服姿でベッドに突っ伏したまま、一時間くらいじっとしていたら。

 またドアがノックされた。


「つむぎ! 賢ちゃんが来てくれたわよ!」


 お母さんの大きな声がして、「あとは、ぼくにまかせてよ」っていう賢ちゃんの声もきこえた。

 お母さんが階段をおりていくと、

「……つむぎ。部屋に入れてくれないか?」

 おだやかな声で言う賢ちゃん。

 わたしは仕方なく起きあがり、ドアのカギをあけ、賢ちゃんを部屋に入れた。

 向かいあって座ると、沈黙が流れて――。

 やがて、賢ちゃんがゆっくり口をひらいた。


「一体、どうしたっていうんだ……? 血相を変えて保健室を飛びだしていったけど……。そのあとも校門のところで見かけたんだ。声をかけたのに、気づかずに走っていって……」


 それは本当に気づかなかった。

 パニックになっていたから……。


「――マヤがわたしに会いにきたわ」


 重い口をひらき、そう告げると、賢ちゃんの顔がこわばった。


「なんだって!?」


 それから、わたしは一部始終を話した。

 順を追って、わたしの正直なキモチもふくめて、ぜんぶ……。