暗示がとけてしまった……?

 頭が真っ白になって、ふらふらと校舎をさまようわたし。

 そのあとも、魔眼の暗示にかかっていたはずの子らと、何人もすれちがったけれど、話しかけられることはなくて……。

 校庭に出て、力なく歩いていると――。


「吉丸!」


 岩田くんと岡くんに声をかけられた。

 笑顔を浮かべているふたりに、最後の希望を見つけたような心地になるわたし。


「おれら、吉丸のことを天使だって言ってたよな? アレ、どうかしてたわ。忘れてくれる?」


 岡くんが言うと、岩田くんが吹きだした。


「おい岡、もっと言い方あるだろ」

「えー? どう言えばいいんだよ?」

「おれたちの天使はべつにいます! ……とか?」

「なんだそりゃ!」


 ぎゃはは、と笑うふたり。

 声をかけてきたときから、意地の悪いふくみ笑いをしていたふたりに希望を感じるなんて……。

 わたしは、ふたりを押しのけて走った。

 湊斗くん! 葵くん! 怜音くん! 紫音センパイ!

 頭に浮かんだのは――それぞれのやり方で、わたしへの想いをぶつけてきた四人のイケメン王子たち。

 会いたい。会いたいよ。