「魅了――つまり、人の心を()きつけるってことさ。まさに今、つむぎはそれをやった。魔眼の力で……」

「え……?」

「至近距離でつむぎと目を合わせたとき、ぼくはすっかりつむぎに惹きつけられてしまった。おそらく魔眼の発動条件は、50……いや、30センチより短い距離で見つめあうことだ。魔眼で見られた者は、たちまち暗示のようなものにかかって、つむぎに好意を抱く」

「そんな……」


 わたしはぼうぜんとした。


「でも、つむぎが望んだことだからな。魔石はそれに応えただけだ。おそらく、つむぎは魔眼を制御できてないから、見つめあったやつを魅了してしまうぞ」

「ええっ! ど、ど、どうしよう!? そんなの困るよ! 相手に悪いし!」


 わたしは頭を抱えて、パニック状態!

 そりゃチヤホヤされたいとは願ったけど、よく考えてみると、魔眼で暗示にかけるのはちがうと思うし……。


「わたし、どうしたらいいの!?」

「まあ、とりあえず、これを持っておきなよ」


 賢ちゃんは、魔除けの水晶玉を渡してくれた。