みんなは大さわぎだ。

 わたしは恥ずかしくて、湊斗くんの首元ばかり見ていた。


「ちょっと綾乃! つむぎちゃんが、岸くんにお姫さま抱っこされてるよっ!」


 小村さんの声がきこえた。


「つむぎ! どうしたんだ!?」


 あっ……今のは賢ちゃんだ。声だけでわかる。

 それよりも――。

 わたしの顔は湯気が出そうなほど熱い。

 それに……ドキドキと暴れている心臓の鼓動が、湊斗くんにきこえるんじゃないかと、気が気じゃなかった。