「いっしょに回りませんか?」

「うん、いいよ」

「やったあ!」


 無邪気に喜ぶ怜音くんがかわいらしい。


「どこに行こうか?」

「ぼくのオススメはですね……」


 いっしょに歩きだして、二年C組の教室の前を通りすぎようとしたら。


「あっ、吉丸ちゃん! 今日もかわいいね! 寄っていってよ! お化け屋敷!」


 お客さんのよびこみをしていた早野くんにつかまった。

 そうだった。C組はお化け屋敷だっけ。

 手づくりのおどろおどろしい看板が立てかけられている。

 早野くんの隣には工藤さんがいて、わたしと怜音くんをじろりと見ると、

「吉丸さんって、相変わらずモテるのね」

 なんて、あきれまじりの声を出した。

 工藤さんは魔眼の暗示にかかってない。


 ――なんでこんな子がモテモテなのよ?


 うぅ、工藤さんの心の声がきこえてくるような……。


「今、ちょうど湊斗のやつがお化け役やってるよ!」

「入る前のお客さんにバラしてどうすんの!」


 工藤さんが、よびこみのメガホンでパコッと早野くんの頭をはたく。

 湊斗くんの名前が出て、どきんと、わたしの心臓が跳ねた。

 今朝の夢で言われた言葉が、頭によみがえる。