「つむぎちゃん! 校庭でチアリーディング部がパフォーマンスするんだって! 観にいこうよ!」

「屋台でスムージー売ってるよ! 買いにいこうよ、つむぎちゃん!」

「吉丸! いっしょに焼きそば食べないか?」 

「おれ、モノマネ大会に出るんだ。観てくれよな、吉丸!」


 今年は、クラスのみんなが声をかけてきて、引っぱりまわされるから、ひとりになる暇なんてない。

 飲食の屋台あり、ゲームコーナーあり、ステージありで、時間を忘れる楽しさだ。


「あっ、当番の時間だ。わたし、そろそろ行くね」


 みんなと別れて、二年A組の教室に向かう。

 A組は、お祭りの縁日気分を味わえる出し物をすることになっていた。

 ヨーヨー釣り、射的、ボール投げ、それからビンゴ大会。

 A組の生徒全員が、交代で接客をする。


「すみません! 遅れましたあ!」


 教室に飛びこむと、数人いたクラスメイトはみんな暗示にかかっているから、遅刻を責めたりしない。


「A組のアイドルが来てくれた!」

 って、笑顔で出迎えてくれて。


「吉丸、がんばれよ」


 時間にうるさい矢島先生も暗示にかかっているから、すごくやさしい。