「湊斗くん!」


 わたしは、自分のさけび声で目覚めた。

 (ひたい)や首元が、汗でびっしょりだ。

 目から涙が出ていることにも気づく。

 わたし、夢を見て、泣いていたみたい。

 それも、ひどくおそろしい悪夢だった。

 黒猫の姿になったマヤに魔石を取られ、みんなからひどい言葉を投げつけられ……。

 そして、何よりも胸が重苦しくなるのは、四人のイケメン王子たちの言葉だ。



 ――あばよ、つむぎ。この卑怯者……!



 最後に、湊斗くんが言い捨てた言葉が、今も耳に残っている。

 イヤな夢を見ちゃったな。

 時計を見ると、起きる時間にはまだ少し早い。

 だけど、わたしはベッドから起きあがった。

 今日は楽しくなるはずの日なんだ。

 だって、文化祭当日なんだもの!



     * * *



 ここ数日の学園は、文化祭の準備で慌ただしかった。

 ようやくむかえた文化祭当日――。

 中等部と高等部の合同だし、規模の大きな一大イベントだ。

 生徒の家族も入場してきて、学園はいつもよりにぎやか。

 去年はひとりぼっちだったから、盛りあがっているみんなを横目に、早く終わってほしいなんて思っていたけれど……。