「熱い……。熱いよ……」


 胸をおさえて、うめくわたし。

 からだの内側から、まばゆい光をはなつものが出てきて、思わずつかんだけれど、

「きゃっ!」

 あまりの熱さに、手をはなしてしまった。

 これは、わたしのからだに入っていた魔石だ!


「あたしは、あなたに預けていたものを受けとりにきたのよ」


 魔石はひとりでに、マヤのほうへ飛んでいった。

 黒猫のからだに魔石が入ると、とたんに、あたりは暗闇につつまれて――。

 あんなに熱かった胸も、今はひんやりと冷たくなっている。


「マヤさん、待って! どこに行ったの!?」


 返事はない。

 その代わり、さまざまな声が響きわたった。


「吉丸さんって、暗いよね」

「あの子、何考えてるのかわかんない」

「吉丸は、話しかけるだけムダだな」

「ちゃんとした会話にならないもんね」

「アイツ、いっつもひとりじゃね?」

「ひとりぼっちでも平気そうじゃない?」

「意外とムリしてそう~」

「完全に空気だな」

「あはは。それそれ。存在感なし!」