「ちょっと待ってよ!」


 ドン! と押したら、ひょろっとしている賢ちゃんのからだは、あっさりとバランスを崩した。

 机に当たって、そのまま倒れこむ。


「いてて……」

「大丈夫!?」


 あわてて駆けよるわたし。


「……そんなにぼくを心配してくれるなんて、やっぱり、つむぎもぼくのことを……」


 倒れながらニヤニヤする賢ちゃん。

 こんなの、いつもの賢ちゃんじゃないよ!

 ゾッとして、立ちあがりかけると、机の上から、ぽとりと賢ちゃんの胸に何かが落ちてきた。


「あれ……? ぼく、なに言ってんだろ……?」


 我に返ったように、賢ちゃんは目をぱちくりさせて。


「つむぎ、ごめん。ぼく、ヘンなことを口走ってたよね?」

「うん……」


 ホントにヘンだったよ!


「ん……? これは……?」


 胸にのっているビ―玉みたいなものをつまむ賢ちゃん。


「あ……これは、魔法グッズの店で買った魔除けの水晶玉だ」


 いろんなもの持ってるのね。


「むっ、そうか! わかったぞ!」


 賢ちゃんは、がばっと上半身をおこした。


「わかったって、なにが?」

「今の一連の現象だよ!」