自分のことでなければ、ポンポンとアドバイスの言葉が出てくるから不思議だ。


「カノジョの弟が、つむぎの聖ネクサス学園の生徒らしくて……。今度、文化祭あるだろ? いっしょに行こうよって、さそわれた」

「へえ! やるじゃん、賢ちゃん!」

「そのとき、つむぎにも紹介するよ」

「うん!」


 うちの学園にいる男の子のお姉さんかあ。


「名前はなんていうの?」

「まだナイショ」


 愉快そうに笑う賢ちゃん。

 おめでとう! ついに賢ちゃんに幸せが……。


「つむぎのほうはどうなの? 相変わらずイケメンたちにモテモテなんだろ?」

「そんなの魅了の魔眼のおかげだもの。本気で恋するな、って言ったのは賢ちゃんじゃない」


 わたしは口をとがらせた。


「まあ、そうだけど……」


 髪をくしゃっとした賢ちゃんは、真面目な顔になって言った。


「これは仮の話だけどさ……今、つむぎにアプローチしてる男子のなかに、以前からつむぎに好意をもっていたやつがいたら……」

「え……?」

「みんながみんな、魅了の魔眼の影響を受けているんだろうか? 元々、つむぎのことが好きだったら、暗示にはかからない」