「じゃあ、行こうか」


 歩いて五分ほどで市民公園についた。

 公園の一角にあるグラウンドは広々としていて、立派な応援スタンドもある。

 応援にきていた佐々木さんたちとも会って雑談したけれど、気をつかってくれたらしい。


「あたしたちは、向こうの席に行くから。じゃあね」


 意味ありげにほほ笑んで、わたしたちからはなれていこうとしたけれど、

「あっ、いっしょに応援しようよ!」

 わたしは佐々木さんたちをよびとめた。


「ねっ? 湊斗くん!」


 顔をのぞきこむわたしに、湊斗くんは苦笑いして。


「ああ、いいよ。でも、つむぎの隣の席は、だれにもゆずらないけど」

 なんて言って、わたしの肩を抱いた。

 心臓が大きく跳ねる。

 湊斗くんには照れがなさすぎるよーっ!


「みんなー! つむぎちゃんと岸くんよ!」


 佐々木さんたちが、うちの学園の二年生がかたまっている席に連れていってくれた。

 女子が黄色い声をあげた一方、岩田くんたち男子は、湊斗くんに不満たらたらだ。


「もうっ! 四人のイケメン王子がみんな、つむぎちゃんをめぐって争ってる状況なんだから! ほかの男子にはノーチャンスよ。ひがまないの!」


 小村さんから痛恨の一言が飛びだして、がっくりと肩を落とす男子たち。