「ぼくも魔女に会いたかったなぁ。なんでつむぎなんだよ! くーっ、しかも魔女を助けて、お礼にアイテムまでもらってるし、うらやましすぎるよっ!」


 そんなこと言われましても……。


「その石、見せてくれる?」


 賢ちゃんが手をのばしたので、わたしは握りしめていた黒い石を渡した。


「ふむ……」


 黒い石をいろんな角度から見つめたり、虫眼鏡で見たあと、賢ちゃんは大きく息を吐きだして。


「黒ヒスイだね。パワーストーンの一種だけど、ただの石じゃないな。そのマヤって魔女の言葉どおりなら、魔石として使われているんだと……思う」

「魔石って、小説やアニメに出てくる、あの魔石だよね!?」

「ああ、魔力を増幅させて、強力な魔法を使うための石だ。……と思う」


 わたしはガクッとなった。


「なんだか締まらないよ、賢ちゃん」

「しょうがないだろ、見た目はフツーの石なんだからさ」


 賢ちゃんは口をとがらせながら、黒い石を返してきた。


「魔石かどうか確認できるのは、つむぎだけだよ」

「え、わたし……?」

「マヤに言われたとおり、石に願いごとをしてみなよ」

「……う、うん」


 わたしは黒い石を握りしめ、深呼吸した。