取り巻きの女子のなかには莉子センパイもいて、近づこうとする者から紫音センパイをガードするかのように、まわりをにらみつけている。

 これでは紫音センパイに話しかけるのは簡単なことじゃないなぁ。

 軽くため息をついたら。


「おっ、つむぎじゃん」


 わたしに気づいて、紫音センパイのほうから近づいてきた。

 今日は、長い金髪をしばらず、おろしている。


「おはようございます!」


 あいさつしたわたしを、紫音センパイはまじまじと見て、

「なんだ? おれをお出迎えしてくれたのか?」

 ちょっとうれしそう。


「ええ、紫音センパイに渡したいものが……」

「おっ、ラブレターか?」


 ええええええええ! ちがうってば!


「つむぎちゃん、いつのまに紫音センパイとそんなに仲よく……?」


 佐々木さんと小村さんが、口をおさえて、瞳をらんらんと輝かせている。

 ぜったい、よからぬ方向で誤解してるよ!


「おまえら、先に教室行ってろ。ついてくんなよ」


 紫音センパイは取り巻きに冷たく言いはなつと、

「向こうで話そうぜ」

 って、わたしをうながした。

 しかも、ごく自然にわたしの肩を抱いたりして。