雨のなか、家に帰ってから、怜音くんにメッセージしてみたけれど。

 結局、その日のうちに返事はなかった。

 紫音センパイは、ちゃんと怜音くんと仲直りしたのかな?

 心配だなぁ。

 ベッドにもぐりこんだあと、今日の出来事が思いだされて、なかなか寝つけない。

 あの素敵なカフェ【メゾン・ド・セレニテ】に、もう一度行ってみたい。

 でも、あの紫音センパイも常蓮みたいだし。

 ばったりはち合わせしたら困る。

 超がつくイケメンだけれど、乱暴なのがイヤすぎるよ。

 もう会いたくないなぁ。

 …………あ。

 思いだしてしまった。

 紫音センパイに五千円札を渡されて、それでお会計したあと。

 わたし、お釣りを返してないよ!

 うわああああああ、わたしのバカ! ドジ!



 ――あっぶねぇな。このドジ!



 紫音センパイの荒々しい声が、脳内で再生される。

 また会わなきゃダメかぁ。

 とりあえず暗示にはかかっているから、そこまでヒドイ目にあわされる心配はないけれど……。

 その夜の夢に、紫音センパイが出てきて、うなされることになった。