ふと会話がとぎれたあと、怜音くんが口をひらいた。
「そうだ。吉丸センパイの連絡先をきいてもいいですか?」
「うん、いいけど……」
互いにスマホを取りだし、メッセージアプリのアカウントを登録しあった。
わたしの「友だちリスト」には岸くんと望月くんの名前がある。
昨日、放課後の教室で、「岸くんといっしょに望月くんの応援に行く」と決まったときだった。
「連絡先を教えてくれ」
岸くんに言われたんだ。
そうなると、望月くんもだまってない。
「吉丸さん、おれも!」
って、お願いされて、ふたりとメッセージアプリで連絡とれるようにしたんだ。
「おれは待ちあわせするから必要だけど、べつに葵は必要ねーだろ」
だなんて、岸くんは文句言ってたけど。
「――二年生のイケメン王子たちが、吉丸センパイをねらってるみたいですね」
ふいに、怜音くんがアイスカフェオレをストローでかきまぜながら、ぽつりと切りだした。
どきりとして、固まってしまうわたし。
学園中のウワサになってるみたいだし、怜音くんの耳に入っていないワケはない。
この話題になるのは、予想していたけれど。
「…………」
わたしは言葉に詰まってしまって、何も返せない。