パンケーキのメニューを見て、わたしは目玉が飛びだしそうになった。

 すべて千円をこえてるっ!

 おいしそうだし、せっかくだから食べたいけれど……。


「わたし、パンケーキ代は自分で出すよ」


 こそっと小声で言ったけど、怜音くんは首を横にふった。


「ダメです。ここのお代は、ぜんぶぼくが払いますから」


 これは折れてくれそうにない。


「じゃあ……いちごとチョコレートのパンケーキを……」


 なるべく安いものを注文することにした。


 注文してから、ほどなくして。

 マスターが、飲み物とパンケーキを運んできてくれた。


「わあ! おいしそう!」


 思わず声がもれる。

 怜音くんのスフレパンケーキは、ふわふわの生地に粉雪のようなパウダーがかかっていて、バニラアイスがそえられている。

 わたしが頼んだパンケーキは、ココアパウダーがかけられた生地に、いちごがたくさんのっていて、チョコアイスがそえられている。


「ごゆっくりどうぞ」


 にこやかにほほ笑んで、マスターはまたカウンターに戻っていった。


「さあ、食べましょう」

「うん。いただきます!」


 怜音くんにうながされ、わたしはフォークとナイフを手にとった。