私は、聞こえないふりをして下駄箱に向かった。


『…おい!美羽!!』


――ガシッ


『な、なに…?。』

『なんで最近避けてんだよ!』



そんなことを聞かれた私は、本当のことを言わず、


『彼女との時間を奪いたくないから…だよ』


と顔を合わせず言った。


『…だから、もうつむぎのところに行って……。それと、おめでとう………。涼太…。』 



半分泣きながら、笑顔だけ向け、わたしは掴まれていた手を離した。



(これで…これでいいんだ…。
 元々叶わない恋なんだから……。)


そう考え、この日は泣きながら帰った。