とんでもない提案をしてきたので、わたしは絶句してしまった。
楓くん! なんてことを……!
「あー、じつは僕も、ちょうど同じこと考えたんだ」
樹くんまで!?
「一生アニキのままってのはゴメンだからな」
「僕もだよ」
ふたりとも本気!?
「だっ、ダメ! もし死んじゃったらどうするの!?」
わたしはゲンコツを握りしめて強く反対した。
「い、今だって意識がなかったときのこと、ちょっと思いだしただけでも泣けてくるんだからねっ。わたし、あのときと同じ思いをするのはイヤだよっ。なのに、ひどいよ、ふたりとも――」
思わず声がふるえてしまう。
「おれだって、この年で死にたくねーよ」
えっ。
わたしは、きょとんと楓くんを見つめた。
「そうだね、親やみんなにまた心配かけることになるし。今度こそ死んじゃうかもしれないしね。そうなったら笑えないよ」
樹くんも深くうなずく。