「理子、そんなとこで何ずっとつったってんだよ?」
「はやく、こっちにおいで」
樹くんの顔をした楓くんと、楓くんの顔をした樹くんが、ふたりそろってわたしをふり返る。わたしに対する態度が以前と反対だから、頭がバグっちゃいそうだよ。
夏休みまでの日数は、あと三日。
第一目標として、明日からの三日間を乗りきることだけを考えるんだ。
不安を打ち消して、部屋の中に入った。
「おじゃまします……!」
それでも心細かったから、床に落ちているクッションをひろいあげ、抱っこしてすわる。
樹くんと楓くんもベッドからおり、長い足を折りまげてあぐらをかいた。
これで話しあう態勢が整った。
わたしは、ふたりの顔を見くらべた。
「とりあえずね、元に戻るまではこのまま演技しないと。樹くんは楓くん、楓くんは樹くんになりきるんだよ。できる……?」