わたしはパチパチ、まばたきをくり返した。

「何ぼさっとしてるんだ、理子を泣かせんじゃねー、すぐ戻るぞ、ってすごい剣幕だったよ。もしかしたら、あの花畑は死後の世界だったかも……」

 死後の世界!?

 予想していなかった言葉をとつぜん聞かされたのでおどろいた。

 さらに目をパチパチさせたら、樹くんはニッと笑った。

「僕も楓もあわてていたから、戻るからだを、おたがいまちがえてしまったのかもしれないね。笑えるよなあ」

 とても不思議な話だった。

 ふつうだったら、とても信じられない話だけど。

 実際に樹くんと楓くんが入れかわっているんだもん。

 本当にあった話だと思えたんだ。

 けど、やっぱり「死後の世界」だなんてワード、おだやかじゃない!

 思わず、樹くんの左のうでをギュッと抱きしめた。

「樹くん、約束して。もう危ないことしないで!」

「理子……?」