「いれ、かわった……?」

 わたしはボーゼンとしたまま、樹くんの顔を見つめた。

 ううん、見つめ直した。

 そうしたら、表情が樹くんのものとちがっていることに気づいたんだ。

 わたしを見つめる瞳、わたしをからかう態度に仕草。

 これはぜんぶ、楓くんのものだ……!

 樹くんの瞳の色が深くなる。

「ああ、入れかわったんだ」

 ぞくり、と背中に電流のようなものが走った。

 こんなこと思うなんて、どうかしてる。

 そうだよ。わたし、きっとどうかしてるんだ。

「そんな、とっぴょうしもないこと……急に言われても、信じられないよ……だって、だって、冗談だよね? わたしをからかっているだけだよね?」

 わたしをからかうのは、いつも楓くんだ。

 樹くんじゃない。

 なのに、冗談であってほしいとすがる思いで問いかけた。