なぐさめてくれているとわかった。

 わたしも楓くんになぐさめてもらいたかった。

「でも、もう応援しなくていいから」

 くじけそうな自分をねじふせて言うと。

「理子! まだ、そんなこと言うのか……?」

 楓くんの目が大きく見ひらかれる。

「ううん、そうじゃないの」

 わたしは首を横にふった。

「“火のないところに煙は立たない”って言うでしょ。なら、自分で火を消してまわらなきゃ。楓くんにかばってもらっていたら、いつまでたっても消えないもん……」

 おねがい、わたしの気持ちをわかって。

「わたしね、楓くんの言うとおり、やれるだけのことをやってみようって気になっているんだよ。だから、ひとりでがんばってみようって」

 数秒間、沈黙の時間が流れる。

 楓くんは「バーカ」と小さく笑った。

「じゃあ、なんで泣いてるんだよ。目にいっぱい涙をためてるじゃねーか。ひとりで平気って面かよ。ちげーじゃん」