「くやしいよ、くやしいよ! でも……!」
わたしさえガマンすれば、ことはすぐ終わる。
最後まで言えず、うつむいたら。
「まさか、ガマンすればいい、なんて思ってんじゃねーだろうな?」
「!!」
一瞬、心臓が止まった。ウソじゃなくて、本当に止まったような気がしたんだ。
「そんなんじゃ、相手に伝わるものも伝わらねーだろ。もし、何もしないでそう思っているんだとしたら、それはただの怠慢だ」
とがっていた楓くんの声が、少しやわらかくなっている。
「あきらめないで、やれるだけのことはがんばってやってみるんだ、いいな?」
すごく不思議な気持ちだった。
わたし、応援されているんだ。怒られているんじゃなくて……。
「まあー、サッカーとかスポーツの場合は、アイコンタクトってやつがあって、ちょっと例外だけどな――」
まだ話の途中だったけれど、わたしはのろのろと顔をあげた。