「ほんとほんと。ちょっと言われただけで、泣きそうな顔しちゃって」
「泣きたいのはこっちだって、ねえ?」
「野々村くんたち、ひょっとしてだまされているんじゃない?」
「フフッ、言えてるー!」
こんなことを言ったんだ。わたしが聞いているとも知らずに……。
彼女たちの言葉は、ガラスのかけらみたいに突き刺さってきた。
イヤな気持ちがジワジワこみあげてくる。
いったい、わたしが何をやったって言うの?
ひどい、ひどいよ……!
今すぐ飛びだしていきたい。
けれど、ガマンしなきゃ。
優雨ちゃんにも「負けない」って言った。
そう、わたしさえガマンすればいいんだ。
そうすれば、いつかきっと、うわさは消える……。
下くちびるをかんで、彼女たちが通りすぎるのを必死に耐えつづける。
――――と。
「……なんだ、あいつら。気に入らねーな」