「なんだよ、その不満そうな顔は」

 むうっ。

 わたしは思いっきり口をとがらせた。

「なんだよ、じゃないよ。後藤さんってどんな子? どうして前もって話してくれなかったの?」

「どうして、つっても、ただのマネージャーだし。どんなふうに話せってんだよ」

「だ、だって」

 なんだか、わざと会話をさせなかったような気がするんだもん。

 それに、楓くんが後藤さんに対して、そっけない態度をとったわけも、すごく、すごーく気になっちゃうよ……。

「だいたいなあ、おれたちと仲よくなってどーすんだ。この状況じゃ、親しくならねー方が得策だろ?」

 楓くんの言うことは、もっともだった。

 樹くんは楓くんで、楓くんは樹くんだから。

「う、うん……」

 反論できずにうなずくと、楓くんは「はあー」とため息をついた。

「うちの学校、女子サッカー部がねーからな。時々いっしょに練習もやってんだよ。おれたちも助かってる部分があるんだ」