「ホントだって」

　肩から力が抜けた。

　よかった、嫌われていなかったんだ……。

　だとしたら、ますますワケがわからないよ。

「じゃあ、なんでキスしようとしてきたの？　やっぱり、いつもの意地悪だったの？」

「そっ、それは！」

　楓くんは核心を突かれたようにドキッとしたような顔を見せた。

「それは、意地悪なんかじゃなくて――」

「意地悪じゃないなら、なんなの？」

「おまえが、か、かわいくて、つい手が勝手に……」

　えっ。

　おどろいて息が止まりそうになったとき。

　楓くんの肩越しに、少しこわばった顔の樹くんがとつぜんあらわれた。

「樹くん！」