「授業に出ない悪い子ちゃんに、俺が特別授業してあげる。」

先生は再び私の手首をつかむと、私をベッドへと案内した。

「立ってたらキツいでしょ?
ベッドに座っときなよ」

先生の言葉に頷いて、私はベッドの上に座った。

先生は近くにあった椅子を私のななめ前において座る。

特別授業って何だろ?

そう思っていると、先生の指が私の目のところにあった。

あまりのとつ然さにびっくりして顔をあげると、予想的中。

魚島先生の顔があった。

「やっとこっち向いてくれた」

ぐいっと私の涙をぬぐうと、先生はポツポツと話をはじめた。

「平《たいら》さん(結花ちゃん)のお母さんが、日向さんに感謝してるって言ってたよ」

「何で私に?」

「平さんが学校に来れるようになったのは、日向さんのおかげだって」

結花ちゃんは、2年生になってクラスになじめず、不登校になっていた。