保健室が開いてなくてもおかしくない。

「…日向さん?」

私はその先生の顔が見れずに、ずっとうつむいていた。

だって、そうしないと泣いてるのがバレてしまうから。

この先生には、この先生にだけは、泣き顔を見られたくない。

「世話がやける子だなあ。」

先生はそう言うと、保健室の鍵を開けた。

そのままぐいっと手首をつかまれて保健室へ入れられる。

「何、授業サボってるの?」

ぷるぷると首を横にふると、先生は内側から保健室の鍵を閉めた。

「どーしたの?
何があった?」

先生の言葉に私は何も言えなかった。

キーンコーンカーンコーン―――

チャイムだ。

授業が始まったんだ。